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ブラウザと小説の新しい関係を模索する

縮み志向

縮み志向の日本人という本を読みました。

筆者は、「現在、世界中で日本的なもの、と見なされていることの殆どは、単にアジア的なものに過ぎないが、こと『縮み志向』に関しては、アジアの中で見ても異質で、日本固有の特徴である」と論じます。

この「縮み志向」の例として、筆者は日本語の助詞「〜の」を取り上げます。例えば

森の木の葉っぱ

という文章。森から木へ、木から葉っぱへ、助詞が左から右に接続するたびに、より小さいものにフォーカスしていく構造になっていますよね。

英語だと、これは

leaf of tree of forest

となりますが、これは、日本語と順序が逆です。つまり「広がり志向」ということになりますよね。筆者によると、韓国でもこういう単語は広がり志向でつながっていくのだそうです。

僕もそうですが、日本人って「of」で接続された英文を読む際に、無理やり逆から読んで「of」の部分を「〜の」でつなぎ変えるような、ぎこちないやり方で理解する人が多いと思います。でも広がり志向のネイティブスピーカーにとっては「小さいものから大きいもの」という連想チェーンが自然なので、ちゃんと左から右に理解しているはずです。

そう考えると、日本語って厳密には英語の「of」に相当する言葉が無いのかなーとか思いました。で、その反対で、英語にも日本語の「〜の」に相当する単語は厳密にはないんじゃないか、とか。そう考えると、たかが助詞の特徴ですが、なんか、脳の根本的な使い方にまで影響を与えてそうで、ぞくぞくします。

で、筆者はこういう日本の、より小さいものに視点がチェーンしていく特徴が、日本製品の類まれなるコンパクトさに反映されているのだ……と分析していますが、まあそれはいいとして。

「日本人が日本と欧米の違いを言うとき、それは往々にしてアジアと欧米の違いでしかないことが多い。だが、本当の日本の特徴って言うのは、似たもの同士であるアジアの中で比較されてこそ見えてくるはずなのではないか」という筆者の主張は全くその通りだと思いました。

寿司ポリスとか言ってる場合じゃないよ! 全く!